PR

感情を制する者が愛を制す!怒りをコントロールする秘訣

自分磨き

はじめに

 恋人や夫婦関係の中で避けては通れないケンカ。ケンカといってもその方法はカップルによって様々です。お互いにとことん話し合うタイプもいれば、怒鳴り合うタイプ、手が出たり物を投げたりするタイプなどなど。ケンカの仕方はカップルの個性ではありますが、激しくなればなるほどお互いに疲れてしまいますし、心身の危険が伴うこともあります。

 この記事では、「ケンカになるといつもカッとして言いすぎちゃう。」「怒ってばっかりで疲れちゃった。」「もっと落ち着いて話し合いができるようになるにはどうしたらいいの?」こんなお悩みをもつあなたへ、怒りを上手にコントロールする方法について解説します。

 怒りを制することで、パートナーとより良い関係を築き、心穏やかな生活を送りましょう。

怒りが表出されるまでのプロセス

 まず初めに、「怒り」がどのように表出されるのか、そのプロセスについてみていきましょう。このプロセスを知っておくことで、怒りに対して効果的にアプローチすることができるようになります。

 一般的には、怒りが表出されるまでには以下の図のようなプロセスがあるといわれています。

それでは、各項目について説明していきます。

1. 刺激

 怒りは、何らかの外的または内的な刺激によって引き起こされます。この刺激は、物理的なもの、言葉、行動、環境要因など多岐にわたります。

2. 認知的評価

 刺激を受けた後、私たちはその刺激を認知的に評価します。これは「この状況は自分にとって良いものか?」「これは不公平だ!」などといった考えが含まれます。この評価によって、刺激が怒りの感情を引き起こすかどうかが決まります。

3. 感情の引き金

 認知的評価を通じて、私たちは「怒り」の感情を引き起こします。また、この場合、急激な心拍数の上昇、血圧の上昇、身体の緊張などの生理的反応を伴います。

4. 表現の選択

 怒りの感情を感じた後、私たちはその感情をどのように表現するかを選択します。この表現の仕方には3タイプあり、怒りを外向きに表現するタイプ(外向きタイプ)、内向きに表現するタイプ(内向きタイプ)、または抑圧する(抑圧タイプ)といった方法があります。

5. 行動

 選択された表現方法に基づいて行動が取られます。これは言葉や行動、態度として現れることが多いです。例えば、外向きタイプであれば“大声で怒鳴る”、内向きタイプであれば“自分自身を責める”、抑圧タイプであれば“沈黙する”といった行動をとります。

6. 結果

 最終的に、怒りを表現し行動することで、なんらかの結果を生みだします。この結果が、他人との関係性や自己評価に影響を与えることがあります。

それでは、具体例を通してこのプロセスをみていきましょう。

例1:恋人が約束の時間に遅れてきた
① 恋人が約束の時間に遅れてきた(刺激)
② 「彼は私との時間を大切に思っていないんだ」と思う(認知的評価)
③ 怒り、不満が生まれる(感情の引き金)
④ 恋人に怒りをぶつける(表現の選択:外向きタイプ)
⑤ 遅れてやってきた恋人に「今何時だと思ってるの!」と大声で怒鳴る(行動)
⑥ 恋人がムスッとして雰囲気が悪くなる(結果)

例2:デートで言ったお店が定休日だった
① デートで行ったお店が定休日だった(刺激)
② 「ちゃんと調べなかった自分は、ダメな人間だ」と思う(認知的評価)
③ 怒り、自己嫌悪がうまれる(感情の引き金)
④ 自分を責める(表現の選択:内向きタイプ)
⑤ 「自分はなんて気が利かないんだ!」と自己批判する、落ち込む(行動)
⑥ 自己評価が低下する(結果)

 このように、「怒り」が表出されるまでには複数のステップがあります。その中で、怒りをコントロールするために注目すべきステップは、①刺激、②認知的評価、③感情の引き金、④行動です。この4つの要素にアプローチすることで、怒りを効果的にコントロールすることができるようになります。

 それでは、次の章からは各要素に対する具体的なアプローチの仕方について解説していきます。

「刺激」へのアプローチ

 私たちが怒りを感じる際のきっかけとなる刺激。この刺激には、周囲の環境や他者からもたらされる「外的刺激」と自分自身の中から沸き起こる「内的刺激」があります。

 怒りをコントロールするために、自分が怒りを感じやすい刺激(トリガー)を知っておくことで、事前に対策をとることができます。

 同じ刺激を受けても、怒りを感じる人と感じない人がいます。自分の怒りのトリガーとなる状況や行動を把握し、それを避けたり予防策を考えたりすることで、「怒り」の感情を沸き上がらせずに済むようにしましょう。

トリガーの特定方法

記録する:自分が怒りを感じた状況とその原因を書き出します。
例:恋人との会話中に相手がスマホを見た時に怒りを感じた

パターンを見つける:記録から共通するパターンを見つけ出し、トリガーを特定します。
例:「自分の話を聞いていないような態度を見ると怒りやすい」というのがトリガーである

予防策

対応策を考える:トリガーとなる状況を事前に予測し、対応策を準備します。
例:恋人と話をする前に「お互いにスマホは鞄に入れておこう」と提案する

環境の調整:トリガーとなる環境や状況をできるだけ避ける、または変えることが有効です。
例:大事な話はスマホを充電している時にする、座る場所を変えるなどして話を聞いてもらいやすい環境を作る

「認知的評価」へのアプローチ

認知的評価とは?

 “認知的評価”とは、私たちがある状況や出来事をどのように解釈するかを決めることをいいます。例えば、相手からアドバイスをされた際に、「助言をもらえてありがたい。」と思う人もいれば、「見下された!」と思う人もいます。このように、ある出来事に対する自分の受け取り方のことを認知的評価といいます。

 この評価が感情の引き金となり、怒りの感情を引き起こすことがあります。認知的評価をポジティブに書き替えることで、怒りの感情を軽減することができます。

認知的評価の書き替え方法

ステップ1:現状認識

 まず、怒りを感じた状況と、その時の認知的評価を書き出します。このプロセスを通じて、自分の評価がどのように感情に影響を与えているかを認識します。

(例)
怒りを感じた状況:恋人にメッセージを送ったが返事が返ってこない
認知的評価:私のことを無視している

ステップ2:再評価

 次に、その認知的評価が事実かどうかを問いかけます。そして、他の解釈が可能かを考えます。これにより、状況を別の視点から見ることができます。

(例)
「本当に彼は私を無視しているのか?」と自問する
→「彼は忙しくて返信できないのかもしれない」と別の可能性を考えてみる

ステップ3:新しい評価に基づく行動選択

 再評価した新しい認知的評価に基づいて、どのような行動を取るべきかを考えます。これにより、怒りを引き起こさない行動を選択できます。

(例)
・他のことをしながらしばらく待ってみる。
・急ぎの連絡の場合は「〇時までに返信してもらえると助かる」などのようにリミットを伝える。
・次からは、相手が比較的暇にしている時間帯にメッセージを送るようにする。

などのように、“相手が忙しくて連絡がとれない”としたら自分はどうすればよいかを考えて行動します。

認知的評価の書き替えの実践例

例:パートナーと意見が対立した
① パートナーが私の提案に反対した(現状認識)
② 「彼は私の意見を尊重していない」と思う(認知的評価)
③ 「彼の反対はただの意見の違いであり、私を攻撃しているわけではない」と考え方を変える(再評価)
④ 「彼には別の視点からの意見があるだけかもしれない」と思う(新しい認知的評価)
⑤ 彼の意見を聞き、冷静に話し合いを進める(行動選択)

 このように、認知的評価をポジティブに書き替えることで、怒りの感情をコントロールしやすくなります。このプロセスを繰り返すことで、自己理解を深め、怒り以外の感情表現をすることができるようになります。

「感情」へのアプローチ

 “怒りは二次感情である”といわれています。実は、“怒り”の下には様々な隠れた感情(一次感情)があり、それらが“怒り”として表出されています。このように、怒りは表面的に見えている一部分であり、その下には様々な感情が隠れていることから、怒りは“氷山”に例えられることもあります。

怒りをコントロールするためには、この隠れている一次感情に気づくことが大切です。

 この図のように、怒りの下にはたくさんの感情が隠れています。この氷山のように、自分の怒りの根本にはどんな感情が隠れているのだろう、本当は自分はどんな感情を持っているんだろう、と考えてみることで、怒り以外の感情に気づくことができます。

 “怒り”をコントロールするコツは2つあります。一つは先ほどお伝えしたように、“怒りの下には別の感情(一次感情)が隠れている”ということを知ること。そしてもう一つは、一次感情をたくさん知っていることです。

 例えば、「なんだかモヤモヤする」という状態になったときに、それが“不安”という感情だと知っていれば「○○が不安なんだ」と表現することができます。しかし、“不安”という感情を知らなければ、その不快感を“怒り”として表現するしかなくなっています。

 このように、自分の感情のレパートリーが多ければ多いほど、“怒り”以外の表現をすることができ、相対的に“怒り”を少なくすることができるのです。

それではここからは、この2つのコツを踏まえて、感情にアプローチする方法について解説していきます。

ステップ1:状況を振り返る

 自分が怒りを感じたときの状況を振り返ります。これにより、自分が怒りを感じやすいパターンを把握します。

「恋人にメッセージを送ったが、返信がなくてカチンときた」

ステップ2:感情を分類する

 自分がなぜ怒りを感じたのかを考え、その原因を怒り以外の言葉に分類します。

「無視されている気がして悲しかった
「何かあったのではないかと心配だった」
「別の人と一緒に過ごしているのではと不安になった」
「相手の気持ちが離れた気がして孤独だった」

ステップ3:感情を表現する

 怒り以外に分類できたら、その感情を言葉で表現してみます。かなりの勇気とエネルギーが必要なステップですが、繰り返し表現することで徐々に上手に表現できるようになります。

「連絡がなかったから、何かあったんじゃないかと心配していた」と相手に話す。

 このように、怒りを感じたときに「自分はなぜ怒っているのか」と自問することで、怒りの奥底に隠れている本当の感情に気づきやすくなります。そうすることで、必要以上に怒ることなく、また、誤解なく自分の感情を伝えることができるようになります。

「行動」へのアプローチ

 私たちは、怒りを感じた後それをどのように表現するかを決めています。怒りの表現の仕方には3つのタイプがあり、それぞれのタイプによって、怒りを表現するときの行動が異なってきます。

外向きタイプ…怒りを他人に向けて表現するタイプ。強い言葉や行動で怒りを示すことが多い。
内向きタイプ…怒りを自分自身に向けて表現するタイプ。自己批判や落ち込みが多く見られます。
抑圧タイプ…怒りを抑え込むタイプ。表面的には冷静に見えるものの、内面で怒りが蓄積されることが多いです。

 人によって主となるタイプ(一番表現されやすいタイプ)はありますが、その時の状況や怒りの強さなどによって、外向きタイプになったり抑圧タイプになったりするなど、流動的なものでもあります。

 このタイプによって次に取られる行動が決まってきます。それではここから、このタイプ別に表現される“行動”にアプローチする方法を紹介します。

外向きタイプにおすすめの方法

 外向きタイプは他人に向かって怒りを表現するため、感情を溜め込まずに済んだり、他人に自分の意見や感情をはっきりと伝えられる、といった良さがあります。

一方で、強い言葉や行動で相手を傷つけてしまい、相手との関係が悪化したり、衝動的に怒りを表現してしまうことで、後悔する行動や発言をするリスクがあります。

 これらのことから、外向きタイプが特に意識することは、“いかに冷静になるための時間をとるか”ということになります。それでは、外向きタイプにおすすめの方法をご紹介します。

深呼吸

 怒りを感じた時には、数回深呼吸をして気持ちを落ち着けましょう。怒りを感じると、呼吸が浅くなり身体が緊張するため、深い呼吸を意識して繰り返すことで、身体の緊張を緩和することができます。

タイムアウト

 怒りが爆発しそうな時には、一旦その場を離れて冷静になる時間を作りましょう。散歩をする、別の部屋に移動するといった方法がおすすめです。

自分に対してポジティブな言葉をかける

 自分に対して「落ち着け」「冷静になろう」「少し時間を置こう」などのポジティブな言葉をかけることで、自分が怒りを表現しようとしていることに気づくことができます。これにより、怒りをコントロールしやすくなります。

内向きタイプにおすすめの方法

 内向きタイプは怒りを自分自身に向けて表現するため、他人との激しい衝突を避けることができたり、自分を見つめなおすことで自己改善をすることができるといった良さがあります。

 一方で、自分を批判しすぎるあまりに、自己評価が下がって自信を失ってしまったり、ストレスが蓄積することで精神的・身体的に悪影響を与えるといったリスクがあります。

 これらのことから、内向きタイプが特に意識することは、“いかに怒りを適切に発散するか”ということになります。それでは、内向きタイプにおすすめの方法をご紹介します。

感情を整理する

 自分がなぜ怒っているのか、その根本原因を探ることで、自己理解を深めましょう。頭で考えるだけではなく、紙に書くなどしてアウトプットしながら、感情を整理することで原因を明確にし、自分を過剰に批判することを防ぐことができます。

誰かに話す

 怒りの感情が溜まる前に誰かに話をすることも大切です。信頼できる友人やカウンセラーなど、第三者に愚痴として話すことで自分の気持ちを発散することができます。

セルフケア

 自分を大切にする時間を作ってリフレッシュしましょう。自分自身を労わることで落ち込みすぎることを防ぐことができます。趣味に没頭したり、リラックスタイムを作ったりするのがおすすめです。

抑圧タイプにおすすめの方法

 抑圧タイプは怒りを抑え込むため、冷静さを保つことができたり、自制心を鍛えたりすることができます。

 一方で、怒りに気づかずに抑え込むことで、知らず知らずのうちに怒りが蓄積して爆発したり、抑え込んだ感情がストレスとなって精神的・身体的に悪影響を及ぼしたりするというリスクがあります。

 これらのことから、抑圧タイプが特に意識することは、“自分が怒りを感じていることに気づき表現する”ということになります。それでは、抑圧タイプにおすすめの方法をご紹介します。

怒りに気づく

 人は、怒りを感じたときに身体に反応が現れることが多くあります。そのため、身体感覚に注目することで、怒りの兆候に気づきやすくなります。

 主な身体反応としては、①身体の緊張(首や肩のこわばり、こぶしを握り締めるなど)、②呼吸が浅くなる・速くなる③心拍数が上昇する④その人独自の反応(冷汗が出る、手が震える、貧乏ゆすりをするなど)といったものがあります。

 定期的に自身の身体の状態をチェックし、①~④のような変化がないかを観察してみましょう。いつもの自分と比べて変化がある場合は、「今自分は怒りを感じているんだ」と認識することで、次第に怒りに気づきやすくなっていきます。

表現の練習をする

 抑圧タイプは、怒り以外の感情も抑え込んでしまうことがあります。そのため、怒りに限らず、自分の感情を表現する練習をしてみましょう。日常の小さな出来事が起こったときに自分の感情を言葉にしてみることで、抑圧する癖を改善していきます。そうすることで、怒りを感じたときにも言葉で表現しやすくなります。

身体を動かす

 怒りを感じたことに気づいたら、身体を動かすことで怒りのエネルギーを発散するのも一つの方法です。運動やヨガ、ストレッチなどを取り入れることで、心身ともにリフレッシュすることができます。

 自分が怒りを感じたときにどのようなタイプの行動を取りやすいかを知り、自分も相手も尊重した行動を取るようにすることで、たとえパートナーとケンカをしたとしても良好な関係を保つことができるようになります。

おわりに

 いかがでしたか?

 怒りは誰もが経験する自然な感情であり、それをコントロールすることは決して簡単なことではありません。しかし、怒りの感情を上手にコントロールすることは、パートナーとより良い関係を築き、心穏やかな生活を送るための鍵となります。困難な時もあるかもしれませんが、少しずつ自分のペースで練習することで、必ず成果が現れてきます。

 皆さんがこの記事を参考にして、日常生活で怒りを上手にコントロールし、心の平和と幸福を見つけられることを心から願っています。パートナーとお互いに支え合いながら、より良い関係を築いていってください!

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました